2025年3月11日

【読了】生きるとは、自分の物語をつくること

 今日も無事1件納品。ちょっと余裕があったので、読み途中だった本を読了しました。


小説家の小川洋子さんと心理学者の河合隼雄さんの対談です。



奇跡のように実現した二人の出会い、そして最後の対話――。
河合隼雄と小川洋子の「物語の魂」が静かに響き合う。

人々の悩みに寄り添い、個人の物語に耳を澄まし続けた臨床心理学者と、静謐でひそやかな小説世界を紡ぎ続ける作家。二人が出会った時、『博士の愛した数式』の主人公たちのように、「魂のルート」が開かれた。子供の力、ホラ話の効能、箱庭のこと、偶然について、原罪と原悲、個人の物語の発見……。
それぞれの「物語の魂」が温かく響き合う、奇跡のような河合隼雄の最後の対話。(Amazon HPより)

ちょっと微妙に、昔読んだことがあるかもしれない……という気もしましたが、再読だとしても楽しめました。


最後は、次回はこんな話をしましょう……というところで、河合隼雄さんがお倒れになったようで、尻切れとんぼのように終わり、小川さんの少し長めの後書き兼追悼文で締めくくられていました。


週刊新潮での対談をまとめたものらしく、毎回さまざまな話題が上がりますが、「生きるとはどういうことか」というテーマをベースに、小川さんの小説(特に代表作『博士の愛した数式』の話が多い)や河合さんのカウンセリングの現場での患者さんとの心のやりとりについて語られていました。


整合性があるものは生き物ではなく機械であり、人間は矛盾しているから生きていて、その矛盾を意識していながら生きていくしかない。でも矛盾が「個性」であり「その矛盾をこうして生きました」というのが物語なんだと河合さんが仰っているのが印象に残りました。


河合さんの本はいくつか読んでいますが、元々数学の先生だったようで論理的ながらも穏やかな語り口で、それだけで癒されます。今回は対談なので柔らかい関西弁でさらにその感じが伝わってきてよかったです。


余談ですが、母方の祖父が大阪の人でしたが語りが穏やかで河合さんとよく似た感じで懐かしくなります。名前も、祖父は準雄(じゅんゆう)というちょっと変わった名前で、河合隼雄さんのお名前と字もよく似ているので余計に懐かしい感じです。


小川さんの『博士の愛した数式』も特に映画が好きで何度も見ています。


全体的にとっても優しい気持ちになれる本でした。

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