2025年10月12日

【読了】奇跡の脳

 読了記録が溜まってきました。


脳科学者である「わたし」の脳が壊れてしまった――。ハーバード大学で脳神経科学の専門家として活躍していた彼女は37歳のある日、脳卒中に襲われる。幸い一命は取りとめたが脳の機能は著しく損傷、言語中枢や運動感覚にも大きな影響が……。以後8年に及ぶリハビリを経て復活を遂げた彼女は科学者として脳に何を発見し、どんな新たな気づきに到ったのか。驚異と感動のメモワール。AmazonHPより


テイラー博士は、ある朝脳卒中によって左脳の機能を「失っていく」経験をします。障害がゆっくりだったため、文字通り進行形で「失っていく」のを感じたそうです。


少しずつ言葉を理解できなくなり、数字の意味も消えていく、電話番号を読んでも音の連なりにしか感じられなくなっていきました。


ですがそれと同時に右脳の世界が一気に開かれ、「自分と宇宙の境界が溶けていく」ような、圧倒的な一体感と平和を感じたそうです。


読んでいて印象的だったのは、博士がその右脳体験を「至福」として描いていることです。自分で脳卒中になったと認識しているわけですから怖いと感じるのではないかと思うのですが、彼女にとっては「神秘的な安らぎ」だったとか。


つまり、いわゆるマインドフルな状態です。これが右脳の感じ方のようです。


その後、回復の過程で博士は少しずつ左脳の機能を取り戻しながら、右脳とのバランスを意識的に学んでいきます。


当たり前のように使っている脳の右脳と左脳の働きの違いが、どれほど人の「あり方」を形づくっているんだろうと思いました。


そして、特に印象的だったのは、「私はどちらの回路で生きるかを選べる」という言葉です。


起きた事象に判断を加え、時に不安や恐怖に私たちを苛む左脳的思考に巻き込まれるか、マインドフルで穏やかさを与えてくれる右脳的感覚に身をゆだねるか、その選択権が自分にあると気づいた瞬間に、日常の中の「心の使い方」が変わるような感覚になったそうです。


テイラー博士が入院中にお世話になった看護師や医師の方たちとの体験を読むと、現代人は本当に意識していないと、つい左脳優位な生き方をしているんだろうなとつくづく思いました。


右脳と左脳をバランス良く使うことが、人生を幸福に生きていく秘訣なんでしょうね。


ですが現代人はどうしても左脳優位で生きているだろうから、もっと右脳を活性化していくことが必要だろうと思いました。




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