4月中に読み終えた本がまだ数冊あるので、4月分の読了記録が続きます。
ウイルス学者は、ウイルスを作り出すことができます。感染細胞から、ウイルスのタンパク質の設計図が書いてあるDNAをとってきて、それをプラスミドという大腸菌内の環状DNAに入れて増殖させるのです。あくまで物質であるDNA(デオキシリボ核酸)を、「生命の場」である細胞に入れてやると、ウイルスとなる。まるで生物と物質の境界を行き来するような実験です。ウイルスは、私たちがもっている生命観からはみ出てしまうような存在なのですが、本当に例外的なのでしょうか?さらにウイルスは、ある動物のDNAを、別種の動物のDNAに運ぶことがあります。レトロウイルスはまさに現在進行形で、コアラのゲノムに入り込んで、そのDNAを変えようとしています。一方、人間の腸内には約1000種、100兆個から1000兆個もの細菌が住んでいます。このような例を考えると、生物の世界は「種」あるいは「個体」が独立した世界なのではなく、全体で「生命の場」というものをつくりあげ、私たちは関係性の中で生きているといえるのではないでしょうか。 本書は、「生命には場が必要であり、実は全体で一つ」「ウイルスが生命をつないでいて、生命の場を提供している」「個という概念をもつことは生物学的に正しいのか」といったテーマについて、ウイルス学者の視点から考えます。Amazon HPより
おすすめ度
★★★★☆
★★★★☆
おすすめしたい方
・ウイルス学に興味がある
・学生時代に生物の科目が好きだった(または今学生で生物の科目が好き)
・生命について、理系的な観点から考えてみたい
・学生時代に生物の科目が好きだった(または今学生で生物の科目が好き)
・生命について、理系的な観点から考えてみたい
・コロナのパンデミックについて考えてみたい
多くのレビューにも書かれているように専門用語は難しかったですが、そこは理解しようとしても先に進まないのであまり深く考えずに読みました。
ウイルスとは何かという話から始まり、突き詰めて考えれば考えるほど、結局のところ「生命とは何か」という疑問に行き着く。
生物の進化にウイルスがどう寄与しているか、とても丁寧に解説されていると思いました。そして詰まるところ、私たちはウイルスがいないと生きていけないという事実も、知ってはいたけれど改めて実感しました。
やや難しい内容ではありましたが、この手の本で易しく解説するのは逆に難しいのではないのかと思います。
専門的な内容について知ることも好きですが、養老孟司さんの本然り、学者の方がどういう「生命観」を持っていらっしゃるのか、それはどう導かれて得られたものなのかを垣間見れるのがこの手の本の私が好きな点です。
この本もしっかりその流れが描かれていて興味深く読むことができました。
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