雑誌の連載をまとめたもののようで内容の重複がちらほらありましたが、とても興味深く著者の他の本も読みたくなりました。
ちょっと残念だったのは、地図や挿絵、写真等の資料が小さかったり不鮮明で見にくく、説明されている部分がほとんど分からないところが多々ある点でした。
桓武天皇、平清盛、源頼朝、武田信玄、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康・・・・・・。
土地を変化させ、快適な空間を造り、経済力の土台を築いた先人の叡智!
[本書の主な内容]
奈良盆地での文明誕生/中央の湖を自由に行きかう舟/恵みの地は呪いの地へ/日本列島の地理的な中心・京都
東日本へ行く要の地/モンゴル軍を破った福岡の地形/「信玄堤」という画期的な治水事業
信長が戦った比叡山と大坂の地形/今も現役の「太閤下水」/家康が関東で発見した宝
安倍川がつくった鉄壁の軍事都市/日本堤と墨田堤の仕掛け/幕末に広重が描いた風景/全国の森林が消失する危機
教養としてもためになる内容でしたが、学校で学んだ歴史を見る視点、考える思考とは全く違う角度から歴史を考察しているのが印象的でした。
今と昔とでは土地の形状等が全く違うため、現代的な思考で歴史を見てはいけないなと思うと同時に、歴史に限らずあらゆる分野で自分の思考を疑うことも大事だなと改めて思います。
またいつの時代も、日本の都市文明の進歩には自然災害と森林破壊がつきものということもよく分かりました。
江戸がエコの街という話はよく聞きますが、江戸を一歩出てみれば参勤交代などの人の移動や人口増加に伴うエネルギー消費量の増加で国土は禿げ山だらけ。
広重の絵を芸術としてではなく当時の様子をあらわした証拠写真として考察している点も新鮮でした。
でも国土が禿げ山になったのは江戸時代だけではなく、奈良時代からずっと続いているとのこと。それよりも前、たたら製鉄が盛んだった時代も製鉄のために木材が必要不可欠だったため周囲は禿げ山だらけだったとかというのを、岡田斗司夫さんがもののけ姫の解説で言っていた気がします。
飛行機から下の眺めを見るのが好きなのですが、今はゴルフ場やら太陽光パネルやらいろいろ気になる風景はあります。でも昔に比べたら数段緑豊かな山になっているのかもしれません。それはエネルギー源が木材から石油や原子力に変わってきたからなのでしょうけど。
まぁ結局人間が生きる限り、エネルギー問題からは逃れられないということなのでしょう…。という結論に私は至りました😓
エネルギー問題だけでなく、都市のインフラ整備のお話やそれを推し進めた歴史的人物たちの偉業も本当にすごいなと思いました。昔の人は本当に賢い…。故きを温ねて新しきを知るというのを忘れてはいけないですね。
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