2023年8月13日

【読了】残り者

昨晩読み始めたら止まらなくなって一晩で読めました。面白かった!

時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みる中、大奥に留まった五人の「残り者」がいた。なにゆえ残らねばならなかったのか。それぞれ胸の内を明かした彼女らが起こした思いがけない行動とは――直木賞受賞作『恋歌』と対をなす、激動の時代を生きぬいた女たちの熱い物語。

江戸城明け渡しの日、天璋院の命で女中たちが江戸城から出ていく中、いわゆるお針子のりつは日頃の習慣で針をきちんとしまったかが気になり、呉服之間に戻ろうとする。その道中でそれぞれの目的の下同じく城に残っていた4人の女中に出会っていき、翌朝の脱出までの間に心通わせていく物語。


目的は違えど、皆大奥での仕事に誇りを持ち大奥にしか自分の居場所がないと思っていた5人の女中が、お互いの事情や抱える不安などを少しずつ打ち明けていく。その流れがとても自然な感じで描かれていてどんどん読み進めていけました。


半日程度の出来事がテンポよく、かつ感情豊かに語られていて、とても面白かったです。これは映画にしたら絶対面白いと思う!


朝井まかてさんの時代小説は、歴史の一部分の切り取り方にほかにはない斬新さがあって好きです。


時代小説では宇江佐真理さんと朝井まかてさんの本は、淡々としていて感情的ではないけれど感情豊かに物語が描かれていて、ほのぼのしたりほろりとしたりする部分があってついつい何冊も読んでしまいます。


ひとまずまとめ買いしていた朝井まかてさんの小説は全て読み終えました。今NHKの朝ドラでやっている「らんまん」の主人公のモデルとなった牧野富太郎の『ボタニカ』なども面白そうです。また他の小説もいろいろ読みたいです。

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