「日本人の忘れもの」の完結巻である第3巻を読み終えました。
この巻ではまさに「日本の心の原点」みたいなものが中西さんの言葉と思いで綴られていました。
日本人の中にそこはかとなく残り続ける文化遺伝子を刺激されるような、そんな内容でした。
たとえば「なつかしい」という気持ち。たとえば都会で育った若者や子どもたちが、田んぼが広がる風景を見てなんだか「なつかしさ」を感じる。過去に経験したこと見たことがないのに「なつかしさ」という感情が湧くのはなぜなんだろう…
そういうことを考えながら読み進めていくような本でした。
特に日本人の「情緒」についてのお話も多く、私も以前からよく本を読んでいる「岡潔」の名前もちょくちょく出てきました。
すみれの花を見て、あれはすみれの花だ、と思うのは知的な見方。あれはむらさき色だと見るのは感覚的な見方。実際にそこにあると見るのは存在感としての見方。そして、すみれの花はいいなぁと見るのが情緒。
…というのは岡潔の有名な主張で、日本人は「情の人」であるのにこれを忘れてしまっているといいます。仏教が入ってきて意志の修行が広まり、儒教が入ってきて知が中心となったので、情をきれいにしよく働かすようにするのがよいともいっています。
これを読んで本当の「情」とは魂から湧き出るものであり、神道的な信仰や自然崇拝によって培われてきたものなのかなぁと思いました。自然を見て、ただただああいいなぁと感じる。ただそれだけの心の動きが今の情報過多の日本に足りないのかもしれません。。。
日本人の情ってそれぐらい原始的なものであり、それが日本人の遺伝子に深く刻み込まれているものかもしれませんね…
なんか話が岡潔中心になってしまいましたが(笑)、中西先生が1章まるまる割いて岡潔のことや情緒のことを書いておられるので、一応間違いなくこの本の感想です!
ちなみに中西先生も夏目漱石がお好きなのか、頻繁に夏目漱石の名前が挙がっていてほっこりしました。
3冊はさすがに長かったですが、日本のことについてより理解を深めることができたので読んで良かったです😌
今後もほぼ「日本」ものばかりの読書感想になりますが(積ん読がそれ系ばっかり&自分の興味が向かう方向<メインは民俗学>なので)、お付き合いいただければうれしいです😊
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