2023年4月26日

【読了】日本人の忘れもの1・2

1巻は少し前に読了したのですが、3巻まであるのでまとめて感想を書こうと思ってとっておいたものの、まだあと少し時間がかかりそうなのでひとまず1・2の記録と簡単な感想です。

まとめの感想は3巻の時に書こうと思います。





「令和」の元号の考案者とも言われる万葉集研究者の中西進さんのエッセイです。

月刊「Wedge」という雑誌に連載されていたエッセイをまとめたものだそうです。

「日本人の忘れもの」というタイトルが伝えようとしているのは、第2巻(P.85)によると「ヨーロッパふうな価値観によって忘れられた、日本のよさを検証しよう」ということ。

儒学が主要な学問だった時代に日本人の考え方や感じ方を主張した「国学」というものを本居宣長が立ち上げたことからも分かるように、これは今に限った問題ではなく、日本人は各時代時代に外国の文化を取り入れ日本の文化とうまく融合させて独自の文化にしていく一方で古来からある「日本のよさ」をとかく忘れがちだということが、様々な側面から書かれています。

いろいろなことが書かれていますが、第2巻の解説で元マラソンランナーの増田明美さんが書かれていたことがこのエッセイの本質だなぁと感じました。

第一巻では”和の心”に主題が置かれていますが、この第二巻では、”もののあはれ”を唱えた国学者の本居宣長さんの話や、万葉や奈良の人の歌や暮らし、言葉などから大切な心を教えられます。昔の人は自然を慈しみ、畏敬の心を持ちながら、自然をゆっくり見つめた時間の中で、心の豊かさを育んでいたように思われます。


このエッセイを読んでいると、日本の自然がいかに日本文化に影響を与えてきたかが分かります。その自然を軽んじたり忘れたりしたままで日本らしい文化というものは新たに生まれないのではないかなと思いました。 何しろ日本人の自然に対する観察眼というのが本当にすごいと思うのです。この本を読んでも他の本を読んでも、日本人の優れたところはそれに尽きると感じます。


日本に限らず、どの国もその文化を形成した大本の「何か」があると思うのですが、それを軽んじ忘れてしまいどんどん世界が均一的な面白みのないものになってきたと感じます。


学生時代をアメリカで過ごしたのでグローバル化は素晴らしいと思っていましたが、その後主にアジアや欧州に旅行してみて愕然としました。


どこにもマクドナルドがあり、スタバがあり、GAPがあり、、、どの街に行っても同じなのでつまらないと思いました。それもあって都市よりも地方を見て回るのが好きになりました。もちろん詳しく知ろうとすればその国独自の文化はまだまだ生きていると思いますが、短い旅の中で肌で感じられる文化は本当に失われつつあるなぁと感じます。


何かで、アジアでまだその国らしさが残っているのがミャンマーだかカンボジアだかだという話を聞きましたが、それもあと数年でグローバル化の波に呑み込まれてしまうだろうと。


少しずつグローバル化の弊害が謳われるようになってきて、アメリカですら「アメリカファースト」と内向きになってきた傾向がありますが、これを機に"ローカライズ化"がが進めばいいなぁと個人的には思ったり…。


という感じです。。。3巻はまた違った側面から日本の文化について書かれているようなので楽しみです。


簡単に感想を…と言いつつ、長くなってしまいました😂


そしてもう1冊、中西さんのご著書「ひらがなで読めばわかる日本語」という本を読んでいる途中なのですが、こちらはあまりにも興味深くなかなか読み進められなくて後でもっとゆっくりじっくり読もうと思って置いてあります。


いやもう、ひらがな1語1語に込められたものが文化というか、もう哲学そのものです!



私が英語以外の外国語を勉強したいと思ったきっかけがまさにこれだ~と思いました。その話はまたこの本の感想の時にでも。。。


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