いつ購入したのか忘れましたが、実家の勉強机の引き出しに入っていていつか読もうとずっと思っていた1冊です。『更級日記』同様、そんなに期待していなかったのにとても心に残る1冊になりました。
以下新潮社HPより
人生の挫折のなかで発見した、五感で季節を味わう歓び……。生きる勇気が湧いてくる感動の一冊。
お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。
『更級日記』と同じく1人の女性が自分の人生を振り返って綴ったエッセイです。
「お茶」のお稽古を通して得た1つ1つの気づきがやがて線となってしあわせとは何かに気づていく、その様子が繊細な感性で描かれていて引き込まれて半日で読み終えました。
祖母がお茶とお花の先生だったので、私も小さい頃にお花はやらなかったけどお茶は習わされました。小学校6年生くらいまではちょこちょこやらされていたように記憶しています。お茶ノートも書かされていましたが、大人になっても時々どこからともなく取り出して見させられました。今もたぶんどこかにあります。
私はあんこが苦手なので(今でも)お饅頭が食べられなくて途中で挫折しました(笑)が、この本を読んでいたらもっと長く続ければ良かったと思いました。
前半はお茶の作法やお道具の名前、お手前の流れが出てくるたびに懐かしく感じて「あ、そうそう、そうだった」と思いながら読んでいましたが、後半は今やっているボサノバギターのレッスンを通じて経験したり感じることと共通点が多くて、今後のレッスンに対する姿勢みたいなものを学べた気がします。
そして何より「五感を研ぎ澄ませて生きる」ことの大切さとそこから体感する「自然」や「季節の移り変わり」を私ももっともっと感じて生きたいなと思いました。
私自身も二十四節気や七十二候を意識しながら生活するようになってから、本当に不思議なのですが「しあわせだなぁ」と思うことが多くなりました。
今はまだ知識(頭)ベースなところがありますが、この本にあるように体感(五感)を通して自然や季節の小さな変化を味わっていけるようになりたいなと思います。
雨は、降りしきっていた。私は息づまるような感動の中に座っていた。
雨の日は、雨を聴く。雪の日は雪を見る。夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。……どんな日も、その日を思う存分味わう。
お茶とは、そういう「生き方」なのだ。
映画化もされているようなので、どこかの動画で見れるか探してみようと思います。
この本も読んだらそのまま実家に置いておこうと思っていましたが、東京に持ち帰って折を見て読み返したいです。
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