2023年4月27日

【読了】トルストイ民話集 人はなんで生きるか


トルストイの晩年の短編集。

メインの物語「人はなんで生きるか」のほかに「火を粗末にするとー消せなくなる」「愛のあるところに神あり」「ろうそく(あるいは善良な百姓がどうして悪い管理人に打ち勝ったかという話)」「二老人」の話が収められています。

どれも簡潔で素朴なのに、心が温かくなる物語ばかりでした。

タイトル「人はなんで生きるか」の「なんで」は「なぜ」という意味ではなくて「何によって」という意味です。

人は何によって生きるのか。

どのお話もベースにあるテーマは「愛」。

わたしは、すべての人は自分のことを考える心だけでなく、愛によって生きているのだということを知りました。(中略)こうしてすべての人は、彼らが自分で自分のことを考えるからではなく、人々の心に愛があることによって、生きていっているのです。


どの物語もキリスト教色が強いようで、決してそうではないと感じます。描かれているのは「神の愛」ではなく「人間の心の中にある愛の心」だと思いました(回り回ってそれが「神の愛」ということになるとは思いますが)。


「思いやり」や「真心」を大切にする日本人にとっても心にすっと入ってくる感じです。


日本の昔話のように、心がほんわかするばかりでなく深遠な学びのある物語ばかりでした。


薄い本なので、折に触れて読みたい1冊です。

 

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