2023年4月21日

【読了】先生のお庭番

昨日の平塚行きの電車の中で夢中になって読みました。私にとっては朝井まかてさんの4冊目の本です。

(内容:徳間書店HPより)
舞台は長崎の出島。15歳で修行中の庭師・熊吉はオランダ商館への奉公を命じられた。仕える相手はシーボルト。なんと更地に薬草園を作れという。熊吉はそれでも工夫を重ねて見事な薬草園を仕上げ、シーボルトと妻のお滝の信頼を得てゆく。四季折々の草花に魅入られたシーボルトは、熊吉に日本の自然の豊かさについて説き、どこの国でも同じだと思っていた熊吉は驚かされる。土と草花を通して人のぬくもりを描いた、感動の職人小説にして成長小説。

 

前半は熊吉の心の奥に潜めつつも隠しきれない蘭語への情熱、シーボルトに仕えるまでの経緯や決意、命じられた薬草園造りの試行錯誤の日々、日本の自然を通じて心を通い合わせるしぼると先生(シーボルト)とコマキ(熊吉)の友情的関係、先生の妻オタクサや使用人おるそんとのほがらかな日々が印象的で、とても爽やかな内容でした。


が、中盤以降雲行きが怪しくなり、後半からの急展開。尊敬するしぼると先生への敬意と疑念の交錯、先生(西洋人)との根本的な自然観の違いに打ちのめされる熊吉、そしてシーボルト事件・・・


とても印象的な一文がありここで紹介しようと思いましたが、ねたばれになるのでやめておきます。


誠実に、そして正直に真っ直ぐに生きる熊吉とその熊吉の自然に対する敬意と愛情にとても心打たれました。


後半からの急展開がそれほど詳細に深掘りして描かれていなかったこともあり、全体的に爽やかで癒やされる物語でした。


また読みたいと思える、今まで読んだ4冊の中で一番好きな作品でした。


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