もう1冊、難しくてなかなか読み進められなかったこちらの本も読み終えました。
「恋愛」を夢見て「自由」に戸惑い、「自意識」に悩む……。「自分」を生きることに迷っているあなたに。若い世代必読の不朽の人間論。人間はただ生きることを欲しているのではない。現実の生活とはべつの次元に、意識の生活があるのだ。それに関らずには、いかなる人生論も幸福論もなりたたぬ。――胸に響く、人間の本質を捉えた言葉の数々。自由ということ、個性ということ、幸福ということ……悩ましい複雑な感情を、「劇的な人間存在」というキーワードで、解き明かす。「生」に迷える若き日に必携の不朽の人間論。解説:佐伯彰一。(Amazonより)
「劇的」というのは、日本語でいう「ドラマティック」という意味ではなく、「劇のような」というほうの意味です。
主にシェークスピアのハムレットを題材にしながら(福田恆存はシェークスピアなどを翻訳した翻訳家でもあるので)、「自由」や「個人主義」「個性」という錯覚を痛烈に批判しています。
自然のままに生きる、自由に生きるということに生きがいや最大の価値を置いて生きる若者たちに、私たちは全体のなかで生きているのであって、完全な自由などあり得ない、あり得ないのに自分は自由を求めていると錯覚し、自由を求めて彷徨っているだけだ、と言ってのけます。
私も以前は「自由がいい」と思っていたし、大勢のグループにいるのも苦手でどちらかというと一匹狼派で群れるのが得意ではないので、特に若いころは「自由」とか「個性」とかを追い求めていた気がします。
だけど大人になるにつれ、若いときに思っていた「自由」や「個性」はたんなる夢想だったなと思うようになりました。福田恆存の言うとおり、どうやったって自分は全体のなかに生きているという現実にぶちあたるわけですから…
なので、「この全体性のなかでどういう役割を選びとり演じきるのか」というのは自分の意思で選べ、それこそが人間が欲している生きがいである、という福田恆存の言葉はすとんと腑に落ちました。
内容が難しいので全部を理解できたとは到底言えませんが、この本を読んで感じたのはそんな部分です。何回も読み直したい1冊です。
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