ともに華族に生まれた松枝清顕と綾倉聡子。互いに惹かれ合うが、自尊心の強さから清顕が聡子を遠ざけると、聡子は皇族との婚約を受け入れてしまう。若い二人の前に、燃えるような禁忌の道が拓かれ、度重なる密会の果て、ついに恐れていた事態を招来する──。三島が己れのすべてを賭し、典雅なる宿命世界を描き尽くしたライフワークたる『豊饒の海』第一巻。
容姿端麗でプライドの高い侯爵の息子、清顕(きよあき)と2つ年上で幼馴染みの落ち目の伯爵家の娘、聡子(さとこ)の悲恋の物語。
歪んだ自尊心から自らの屈折した恋心に翻弄される清顕。2歳年上で大人びた聡子の前に出ると自分の幼さに押しつぶされそうになり、自尊心を保つために聡子に冷たい態度を取ったり、傷つけるような手紙を出す。
その手紙がもとで結果的にさらに自分のプライドを自ら傷つけてしまう。聡子に傷つけられたと怒る清顕は、皇族との婚約の話が出た聡子のことも冷たく突き放し、聡子は婚約を承諾することに。
そこから突然自分の恋心に素直になる清顕とそれを受け入れる聡子。。。
この時点で、皇族を欺いて自分の幼いころからの恋心に素直に従うことにした聡子は、さまざまなことを覚悟をしている様子が窺えます。その大人びた聡子にどうしても反発してしまっていた清顕も、前半とは打って変わって自らの恋心に素直になり突っ走るものの、最終的に待っていたのは悲しい別れと結末…
そして清顕の友人、本多の献身的な友情。
…と、恋愛と友情の話ではあるのですが、この四部作の大きなテーマは「輪廻転生」なのだとか。
この次の「奔馬」は、「春の雪」の最後のシーンから18年後、本多が38歳になったときに清顕の生まれ変わりである青年に出会う話から始まるようです。
手に取ったときはこんな分厚い本を読み切れるかなと思っていたのですが、電車の中で夢中で読みました。次の「奔馬」も明日明後日には届くようなので、来週も…といっても週末も出勤するのですが、電車の中で夢中になって読めそうです。
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