2023年7月31日

【読了】日々是好日ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせー

いつ購入したのか忘れましたが、実家の勉強机の引き出しに入っていていつか読もうとずっと思っていた1冊です。『更級日記』同様、そんなに期待していなかったのにとても心に残る1冊になりました。

以下新潮社HPより

人生の挫折のなかで発見した、五感で季節を味わう歓び……。生きる勇気が湧いてくる感動の一冊。 

お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。

『更級日記』と同じく1人の女性が自分の人生を振り返って綴ったエッセイです。

「お茶」のお稽古を通して得た1つ1つの気づきがやがて線となってしあわせとは何かに気づていく、その様子が繊細な感性で描かれていて引き込まれて半日で読み終えました。


祖母がお茶とお花の先生だったので、私も小さい頃にお花はやらなかったけどお茶は習わされました。小学校6年生くらいまではちょこちょこやらされていたように記憶しています。お茶ノートも書かされていましたが、大人になっても時々どこからともなく取り出して見させられました。今もたぶんどこかにあります。

私はあんこが苦手なので(今でも)お饅頭が食べられなくて途中で挫折しました(笑)が、この本を読んでいたらもっと長く続ければ良かったと思いました。


前半はお茶の作法やお道具の名前、お手前の流れが出てくるたびに懐かしく感じて「あ、そうそう、そうだった」と思いながら読んでいましたが、後半は今やっているボサノバギターのレッスンを通じて経験したり感じることと共通点が多くて、今後のレッスンに対する姿勢みたいなものを学べた気がします。


そして何より「五感を研ぎ澄ませて生きる」ことの大切さとそこから体感する「自然」や「季節の移り変わり」を私ももっともっと感じて生きたいなと思いました。

私自身も二十四節気や七十二候を意識しながら生活するようになってから、本当に不思議なのですが「しあわせだなぁ」と思うことが多くなりました。

今はまだ知識(頭)ベースなところがありますが、この本にあるように体感(五感)を通して自然や季節の小さな変化を味わっていけるようになりたいなと思います。


雨は、降りしきっていた。私は息づまるような感動の中に座っていた。

雨の日は、雨を聴く。雪の日は雪を見る。夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。……どんな日も、その日を思う存分味わう。

お茶とは、そういう「生き方」なのだ。


映画化もされているようなので、どこかの動画で見れるか探してみようと思います。 


この本も読んだらそのまま実家に置いておこうと思っていましたが、東京に持ち帰って折を見て読み返したいです。


【読了】更級日記

原文・現代語訳・解説の3部構成になっていて読みやすい本でした。原文は後回しにし、現代語訳と解説を読み終えました。


菅原孝標女の13歳~53歳ごろまでの記録です。夫に先立たれ孤独の日々を送る中で50を過ぎて書き始めたので回想録に近いですが、特に若いころに抱いていた『源氏物語』への憧れはすごく瑞々しかったです。それほど『源氏物語』への憧れが強かったのだなというのがひしひしと伝わってきました。

「浮舟」に憧れて浮舟のようにイケメンエリートたちとの恋や刺激的な日々を思い描いていた少女時代の夢は現実のものとはならず、当時ではかなり晩婚の33歳で平凡な男性とやや仕方ない感じで結婚。「思っていたことは何一つ叶いませんでした」という歌は切ない…

その後は『源氏物語』への憧憬も忘れ、子供の将来を心配する日々や昔の友人は自分のことを忘れたのではないかという、やや後ろ向きな気持ちが綴られています。

少女のころから仏への信仰心があったようですが、思い描いた人生にならなかったのは信心が足りないからだと、物詣でに熱心になります。物詣での旅で見た情景や感じた思いを綴った文は、少女時代の回想録と似たようなときめきやきらめきを少し感じました。

その後突然夫が亡くなり、子供たちも独立し、1人で暮らす寂しさに耐えられず孤独に苛まれる日々の途中で日記は終わります。


こう書くだけでも、どちらかというと明るく前向きな日記というよりはネガティブな印象が強いですが、それでも表現や感性が瑞々しくてどこか生き生きとしていて、不思議と重い気持ちにはなりませんでした。

訳者の方の解説でも「不思議な魅力」と書かれていましたが、本当にそのとおりだと思います。


『とりかへばや』でも書いたように、平安時代も現代も基本的な悩みは全く変わらないので共感できる部分が多いなぁというのが特に印象的な点でした。

平安時代の人が抱えていた悩みが千年以上経った今でも根本的には解決されていない。それを考えると、今自分が抱えている悩みが100年に満たない人生の間に、一時的に悩みが晴れることはあっても解決されることはないだろうと諦めがつきます(笑)。


とにもかくにも、1回読んだだけではこの本の良さは味わい尽くせないなという印象です。実際、読書メーターの感想でも再読や再々読、なんなら再々々々々…なんて人もいました。


ちなみにこちらのまとめ記事が分かりやすかったので、どんな内容か知りたい方にはおすすめです。

https://manareki.com/sarasinanikki

私が読んだ『とりかへばや』と同シリーズのこちらのサイトでも紹介されていた、↓の本も読んでみたいです。


そんなに期待していなかったので実家で読んで置いて帰ろうと思ったのですが、また読み返したいなと思ったので東京に持ち帰ってから原文を読もうと思います。

Youtubeで朗読もあったのでこれもぼちぼち聞こうかな。




2023年7月29日

久しぶりに本屋さんで本を購入した気がします

山陰も毎日暑いです。。。

今日は近くのショッピングセンターに行ったついでに併設されている書店に寄りました。面白そうな本があって1冊購入しました。

書店に行って面白そうな本を見かけるたびに、Amazonのマーケットプレイスでもっと安く買えるかもしれないという思いが自然と頭をよぎります。なんだかそれもどうなんだろう…。

最近は新品でも古本でもほとんどAmazonか楽天ブックスで購入しているので、書店で購入したのはすごく久しぶりな気がします。

書店での一期一会の出会いや新品の本のにおい、大人買いして「面白くなかったらどうしよう」と思いつつもワクワクしている気持ち。最近そういうのを忘れかけているなぁと思いました。

今年後半はもっと書店に出かけてみようと思いました。

購入したのはこの本。


帰省中に読もうと思って結構たくさん本を持ち帰ってきたのですが、全部読めなそう…。

今は更級日記を読んでいます。とても良い本という感想を多く聞くものの本の紹介を読んだ限りではそうかな…とあまり期待していなかったのですが、皆さんの感想は正しかった!本当に良い本です。読書メーターの感想でもすごく評判が良かったです。

日記なので物語として面白いというよりも、作者の表現や感性がすごく繊細で美しいです。ひとまず現代訳から読んでいますが、現代訳も素晴らしいです。原文も読みたいけど他の本も読みたいし…と悩みます。

もう1冊、帰省する前に注文して実家に届いた校正関連の本。NHKのプロフェッショナルにも出た著名な校正者「大西寿男」さんの本。


毎日バタバタしていて結構汗だくになり疲れて夜も早く寝てしまうのでなかなか本が読めませんが(仕事中も眠気との闘い!)、持って帰った本を少しでも多く読めたらいいなぁと思います。


2023年7月27日

ひぐらし

島根に帰ってきました。

東京の家では夜はエアコンを消して寝ているのでこちらでも同じく夜消して寝たら、暑くて暑くて汗だくになった上に、ようやく寝付けたと思ったら悪夢と言ってもいいような変な夢を見て夜中の3時に目が覚めてそれから寝られませんでした。

私の部屋は2階にあるので日中の熱波で瓦屋根が熱されて屋根裏に籠もった熱で夜もしばらく暑いのです。朝方はだいぶ涼しくなりましたが。

でもうだうだしていたら、外からひぐらしの鳴き声が…


考えてみたら、なぜあの鳴き声がひぐらしって知ってるんだろう…

ふとそう思い、ひぐらしって思い込んでいるけど実は違うのかもと思って調べたらウィキペディアに鳴き声の音声がありました。

ヒグラシ

そしてやっぱりひぐらしでした。誰かにあれはひぐらしだよと教えてもらったのかなぁ。記憶にないですが。

ひぐらしは朝方によく鳴いていますが、5時を過ぎるともう鳴きやみました。


さて、いつも楽しみな上空からの景色は、昨日は意外と雲が多くて東京から大阪あたりまで何も見えず、気付いたら若狭湾あたりの海の上でした。


そこからは海の上を飛行していたので途中、鳥取砂丘らしい砂地が見えました。昔行ったときに歩いたらかなり広いと思ったけど、上から見たら意外と小さかったです。そこから米子市の東側あたりまでは鳥取県の海岸沿いがきれいに見えました。思った以上にずーっとまっすぐな砂浜が続いていました。


境港市がある弓ヶ浜を過ぎて島根県に入るともう海岸沿いギリギリまで山になっていて鳥取県と地形が全然違います。出雲市から西の上空は分かりませんが…

帰りは夕方の便だったので、到着した頃にちょうど宍道湖の夕日が綺麗でした。写真は太陽がオレンジ色ですが、もう少し過ぎると真っ赤な太陽に変わってました。昨日はきっと松江市の嫁ヶ島から見える宍道湖の夕日がすごく綺麗だっただろうと思います。


そんなこんなで、この夏は島根の自然を満喫してリフレッシュ期間にしたいと思います(仕事もします)。

2023年7月24日

【読了】朗読者

15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」──ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。現代ドイツ文学の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー。

外国の文学はあまり好きではないのでほとんど読まないのですが、この本は参考にしている読書ブログで紹介されて気になったので購入した本です。


ここしばらく電車に乗る機会が多かったので数日で読み終えることができました。ドイツ語から翻訳された小説ですが翻訳が読みやすかったのですんなり読めました。


主人公のミヒャエルがある日の出来事をきっかけに21歳年上の女性ハンナと深い仲になったことから始まる物語です。


前半は2人が濃密な関係を築いていく様子からハンナが突然姿を消すまで、中盤は数年後に2人が再会を果たした場所である法廷での様子とハンナが姿を消した理由がミヒャエルの語りで語られます。


ハンナ自身はその理由を決して語らない点は実はこの物語の大きなポイントでした。それを自らの口で語っていればハンナの人生もミヒャエルの人生も変わっていただろうに、どうしてもそれができなかったハンナ。そしてそれをハンナの代わりにどうしても証言できなかったミヒャエル。


そして後半では刑務所に収容されたハンナに朗読カセットを送り続けるミヒャエルの思いが語られます。


ハンナから手紙が来ても(これもまたこの物語の大きなポイントです)決して返事を書かずただひたすら朗読カセットを送り続けたミヒャエル。朗読カセットのおかげでハンナは少しずつ自尊心を得ていったと同時に、手紙の返事がなかったことはそのやっと手に入れた自尊心に深く傷をつけていくことになったのではないかなと感じました。


だからこその結末のような気がします。そして、もしかすると最後の最後までミヒャエルはそのことに気づいていないのかもしれない…。


私の勝手な感想ですが、ミヒャエルのハンナに対する思いは愛ではなくエゴなのではないかなと思いました。実は出会ったころから最後の最後まで…。そのことにハンナは気づいていて、最後それは絶望に変わったのかもしれません。。。


ハンナのミヒャエルに対する気持ちはどういうものだったのか…こちらも愛ではなく何か別なものだったように感じます。


訳者後書きで、著者は2回この本を読んでほしいと言っていると書かれていました。ハンナの胸中はまったく語られず、ひたすらミヒャエルの回想という形で物語が進んでいくためか、確かに1回では物語の本質が捉えづらいかもしれません。


あまり期待せずに読んだのですが、不思議と心に深く残る小説でした。またしばらくしたら読み返してみたいです。


次はこの間の「とりかへばや」に続き、古典ものの「更級日記」を読もうかと思っています。


2023年7月22日

読むべきか読まざるべきか・・・「雲の階段」今のところは保留かな

長谷川博己主演の「雲の階段」をHuluで見てしまった…。


はぁ、かっこいい……💨💨💨


今より線が細い感じがするけど。背が高いという以外好みのタイプではないのだけど、実物を見た影響というのはこれほどまでに大きいものでしょうか(笑)。


あらすじが知りたくて調べていたら、原作は渡辺淳一の小説だと知りました。


まだ第1話しか見てないのですが、ネタバレを見たので大体のあらすじは分かりました。うーん、、、小説も読むべきか読まざるべきか…。渡辺淳一の他の小説を読んだことも原作のドラマを見たことも今までないのですが、失楽園やご本人自身の印象からなんだか出てくる女性がねちっこそうな感じ。


この小説でもドラマで稲森いずみ演じる「明子」がかなりねちっこいなどの感想もありました。読書メーターの感想には、昼ドラを見てるようでページを捲る手が止まらない(笑)とか引き込まれるとか一気読みしたいうのが結構あり、それはそれで気になります。


渡辺淳一は医大出身の医学博士であり助手や講師の経験もあるそうで、手術シーンの描写がすごくリアルで引き込まれるという感想も。


しかし、タイトルがいいじゃないですか!あらすじを読んだ限りでは、このタイトルはまさに言い得て妙、と言うしかない。


話がそれますが、最近昔の映画や曲のタイトルの翻訳がすごいなと思うことがあって。例えばシャロン・ストーンの映画「Basic Instinct」は「氷の微笑」とか、カーペンターズの名曲「Close to you」は「遙かなる影」とか「I need to be in love」は「青春の輝き」とか、サイモン&ガーファンクルの「Bridge over troubled water」は「明日に架ける橋」とか。どうやったらこんなタイトルを思いつくんだろうと思います。


閑話休題。1話目を見た時点で最初は長谷川博己演じる「三郎」がどこか陰のある何か秘密を持った感じの男性かと思ったら、あらすじを読んだ限りではそんなことはないようで(まだ分からないけれど)、優柔不断な無免許の偽医師、二股などなど、結構ダメ男っぽい。この後、なぜ1人で島にやって来たのかも語られるのでしょうか。。。ドラマの続きもぼちぼち見て、ドラマを見てから小説を読むかどうか考えてみようと思います(でもドラマと小説の結末は異なるらしい)。



↓講談社HPより

離島の診療所で助手を務める相川三郎は、島でただ一人の医師である所長を助けるために医者の仕事を学び、簡単な手術さえこなせるようになった。ある日、所長の出張中に、東京から来た女子大生・亜希子が運び込まれる。亜希子を助けるため、果敢にも子宮外妊娠の手術に挑んだ三郎を待つ運命とは……。スリリングでせつない傑作長編ロマン。

連続TVドラマ原作
図らずも偽医者を演じることになってしまった男が大病院の令嬢と恋に落ちたとき、一体何が起きるのか?
スリリングな展開に引き込まれる屈指の名作!

離島の診療所に勤める三郎は、島で唯一の医師である所長を助け、医師資格を持たない身ながら診療を行っていた。所長が島外へ出かけたある日、観光客の女子大生が急患として運び込まれる。今すぐ手術をしなければ、若く美しい命が失われる。三郎は意を決して、初の大手術に挑むが……。手に汗握る傑作長編!

亜希子の手術は成功した。彼女は東京の大病院の令嬢であった。亜希子と再会を果たした三郎は、島で看護婦をしている恋人を残し、華やかで都会的な亜希子に強く惹かれていく。ついには結婚話まで持ち上がるが、ニセ医者であることを言いそびれた三郎は、苦悩の日々を歩み始める。あてのない階段をのぼっていく青年の愛の放浪と、はかない青春の輝きを鮮烈に描いた傑作長編ロマン。

女子大生・亜希子の手術は成功し、三郎は彼女と愛し合うようになる。亜希子は東京の大病院の令嬢だった。看護師の恋人・明子を島に残し、三郎は東京で亜希子と婚約し病院の後継者となる。空虚な出世の階段をのぼりながら、いつ偽医者であることが露見するかと、三郎は戦々恐々の日々を送る。

あまりにも罪深い嘘の先に待ち受けるのは、天国か、地獄か?
衝撃のラストまで一気読み必至!


2023年7月19日

【読了】とりかへばや物語

(以下角川HPより)
内気な息子と活発な娘。いっそ二人の性を取り替えたらうまく行く?
女性的な息子と男性的な娘をもつ父親が、二人の性を取り替え、娘を女性と結婚させ、息子を女官として女性の東宮に仕えさせた。二人は周到に生活していたが、やがて破綻していく。平安最末期の奇想天外な物語。

昔、河合隼雄さんの↓の本を読んで面白かったので原作を読みたいと思って購入したまま積ん読となっていた本です。古典ものなのでちょっと腰が重かったのですが、ようやく読み終えました。

(以下新潮社HPより)
性が入れ替わった男女を描いた異色の王朝文学『とりかへばや物語』。かつて「淫猥」と評された物語には、「性の境界」をめぐる深いテーマが隠されていた。男らしさと女らしさ、自我とエロス、性変換と両性具有――深層心理学の立場からジェンダーと性愛の謎を解き明かすスリリングな評論。河合隼雄が遺した名著、選書版で登場。


「とりかへばや」というのは「とりかえたい」という意味です。

おとなしい男の子と活発な女の子のきょうだいの父親が男の子と女の子を行く末を憂い、いっそ「とりかえられればな」という思いから始まった物語。

各章が「あらすじ→現代訳→原文→解説(+コラム)」という構成になっており、やや説明が多い感も否めませんが、まぁ読み進めるにつれてこれはこれで分かりやすくていいのかもと思いました。「ビギナーズ・クラシックス」だし。編者の方の個人的感想もちょっと多いかなと思いましたが…。

結局男性が成人する年頃(12歳)になったきょうだいは、男君は女性として、女君は男性として生きることになるのですが、10代も半ばをさしかかった思春期あたりからの性の目覚めをきっかけに物事が思わぬ方向へと展開していきます。

主に女君(男に扮している)の様々な憂い・苦しみがメインに語られていて、男君(女に扮している)の悩みはあまり語られていません。それどころか、時代的背景もあるのかもしれませんが、後半になると男君は人生を楽しんでいるように思われますが、女君の憂いは最後まで尽きることはありませんでした。

父親の周りの目を気にする姿、性への目覚めと恋愛感情、男性の往来に一喜一憂する女性の姿、女好きで1人に決められない男性の姿、きょうだい・家族間の問題、夫婦間の問題などなど、平安時代も現代も悩みや人生のテーマは変わらないなぁと率直に思いました。

最後は別に何か大きく物事が解決してめでたしめでたしではなく、あっさりした終わり方。

物語としては短めで淡々としている感じでしたが、古典ものだけどまた読みたいと思いました。結構好きでした。

それにしても平安貴族は狭い空間内での人間関係の中で生き、特に女性は自由もほとんどなくて大変だなぁ…。生まれ変わっても平安貴族にはなりたくない(笑)。





2023年7月18日

先日の韓国語翻訳案件の感想&新規校正会社

来週実家に帰って8月いっぱいまであっちで過ごそうと思っているので、今週はのんびり準備でもしようと思っていたのに、やっぱり帰る前にだーっと仕事が来る運命から逃れられません。


いつもの案件とは別件でまた出勤する仕事を引き受けてしまいました。。。しばらく来てほしい感じでしたが、来週から帰省するので行けないのと来月あるいつもの仕事の出勤をお休みするため申し訳なく思って、ついつい火曜日までなら大丈夫ですと言ってしまいました…。


他の仕事が重ならないことを祈る。


さて、先日かなり長い韓国語翻訳の案件をやっていろいろと感じたことがあったのでメモ的に感想を残します。


いつもなぜか特殊な韓国語翻訳の案件ばかり来るのですが💦、今回もまた結構特殊な案件でした。何しろ旧字体の漢字交じりのかなり昔の文章。


今の文章をあまり読んだことがないので今回の感想・・・というか悩んだ点です。


  • 韓国語は日本語に比べて文章が冗長的かつオーバー(悪い意味ではなく)なので、どこを削るか、どう言い直すかなどに悩む(削らないと日本語的にはかなりうるさく読みづらい文章になる)。

  • とにかく1文が長い!まずそのまま訳して文脈を把握してからどこで文を切るかを決めましたが、1文が長くて理解するのもなかなか難しい。この作業も結構大変。

  • 日本語と同じく主語がない文も多いので、誰が主語なのか慣れないと分かりにくい。

  • 英語のように日本語と比べると受け身の文章が少なく、日本語に訳したときにやや違和感があるので受け身にするなどの工夫が必要。(韓国ドラマの台詞を聞いていると、とにかく「ネガ(私が)~」が多い。「ネガ(私が)何々したんだけど」と、日本語だったら「私が~」とあまり自分を主張しないので最初は違和感を感じる。これは文化的に、やはり「相手に負けてはいけないので自分を主張する」という背景があるとの話を何かの本で読んだことがあります)

  • 漢字をハングル読みした単語が多いが(今回の場合は漢字も交ざっていたので)、そのまま漢字に直しても大丈夫なときもあれば、一昔前に使っていた(例えば明治~昭和初期の文章に出てくるような)単語や熟語もあるためそのまま使おうか悩むし、最近の表現に改める場合でも言い換えを考えるのが結構大変。

  • しかし、こういう特性?のおかげか、ものすごく日本語の勉強にもなる。

  • 文法は似ていても結局、単語の選び方、文の作り方、例えば時や場所の副詞を置く位置の傾向などがかなり異なる面も多いため、翻訳は意外と英語より大変かもという印象。

  • 校正の仕事を始めたおかげで翻訳力も上がった気がする。最後にワード59ページの翻訳文を自分で校正しましたが、誤字や文がおかしかったりする部分が結構ありました。翻訳文としてではなく日本語の文として全体を読んできちんと整えるスキルが昔より上がったと思います。校正スキルってすばらしい!と改めて思いました。

話は変わり、先日ある校正会社さんのTwitterで校正者募集のお知らせが上がっていたのでHPを確認したところ、翻訳者も募集されていたので校正者&翻訳者の両方に応募してみました。

校正会社で翻訳者を募集されているところはなかなかないし、こういう会社だったら翻訳ができる校正者というのは結構重宝されるのではないかと思ったところ、やはり即お返事が来ました。

実は最近また少し翻訳の仕事を増やそうかと考えていたのですが、翻訳会社のトライアルも面倒だし登録してしまったら翻訳の仕事がメインになりそうでちょっと躊躇していました。

今回は校正ですらテストとかないっぽい…書類選考→オンライン面談だけのようなので、すごくありがたい。単価はそれほど高くなさそうですが校正と翻訳の仕事をいい具合に両立できそうです。


2023年7月13日

【読了】天地明察(上下)


天地明察(上)・ 天地明察(下)


有名な作品なので説明不要でしょうかね。

小説自体ずっと気になりつつ、去年だったかに映画を見てそしてようやく小説を読みました。やっぱりいろいろな賞を受賞するだけのことはあってとても面白かったです。


映画を先に見てしまったので、渋川春海のイメージは最初から最後まで岡田准一でした(笑)。映画を見る前にこの小説を読んだらどう感じたかは今となっては分かりませんが、この小説をすごく読み込んだのだろうなと思うくらい小説の中の渋川春海が映画で表現されていたと思います。


渋川春海の20代から晩年を描いているので、碁打ちの青年から測量の旅に出て新しい暦を作っていき改暦に尽力するまでの成長していく姿や、成功ばかりでなく幾度となく挫折し心が折れたりまた立ち上がったりする様子も印象的でなんだか励まされました。


人生のどのステージも比較的均等な比重で書かれていたように思うのですが、それがかえって軽やかかつ淡々としていてよかったし、春海の爽やかさも強調されていたように思います。すーっと読めてしまうから上下巻あってもまた読みたいなと思ったときに手に取りやすい感じがしました。


個人的には、一緒に旅に出た建部昌明と伊藤重孝の子供のようにキラキラと算術や星、夢について語る様子が好きでした。それぞれ62歳と57歳で春海とともに測量の旅に出て、自分の息子くらい若い春海を若造扱いせず1人の人間、仲間として接する姿は素敵だなぁと思いました。


そのほか周りの人々も皆いい人たちで、全体的に本当に爽やかな物語でした。


2023年7月9日

【令和5年・読書記録】6月に読んだ本(5冊)

6月に読んだ本です。


【令和5年・鑑賞記録】すみだクラシックへの扉 #16/村治佳織(ギター)

韓国語翻訳の仕事を納品し無事問題なく終わったので、金曜日の午後はこちらのコンサートに行きました。平日の日中&墨田区という土地柄もあってか、お客さんのほぼ8~9割はご年配の方々でした。



指揮者のジョゼ・ソアーレスさんがブラジルの方ということもあり、選曲はラテンクラッシックな感じ。

ギターの先生によく言われるのですが、ブラジル音楽の拍子の取り方は日本人が慣れている西洋のものとはかなり違っているとのこと。

1曲目のヴィラ・ロボス(ブラジル)の曲も近代ものだからとは言え、確かに聞きながら拍子をどう取っていいのか分からず、短い曲だったこともあり、お、お、お、、、という間に終わってしまいました。

新日本フィルの皆さんもプロとはいえ、音的には結構苦戦していたように感じました。

村治佳織さんのギターでのロドリーゴの「アランフェス協奏曲」は、大ホールの後ろのほうの席ではちょっとギターとオケのバランスがいまいちな印象でした。ギターがもう少し聞こえる前のほうの席にすれば良かったとちょっと後悔。

ちなみに村治さんの衣装がかわいかったです。


村治さんのアンコールはBee Geesの「How Deep Is Your Love(愛はきらめきの中に)」。ご年配のお客さんに合わせての選曲なのかもしれませんが、しっとりしていて皆さん聴き惚れていました。私も好きな曲だし素敵な演奏だったので何枚も動画載せておきます。






やはりソロだとギターの音だけがホールに響いてとても心地良かったです。今度は村治さんのソロリサイタルも聴きに行きたい。

ボサノバの弾き語りでは基本的にギターは伴奏のみで、こういうふうにソロギターも弾けるようになったらいいなと思うので時々自分で練習したりもしますが、なかなか難しいです。。。

後半はヒナステラというアルゼンチンの作曲家のバレエ音楽とビゼーの「アルルの女」。

ヒナステラはピアソラの師匠だそうで、ピアソラの曲は私も何曲かピアノで弾いたことがあったのでメロディー的には耳に馴染みました。同じ南米でもブラジルとアルゼンチンでは全然音楽の雰囲気が違うんだと感じました。

そして最後にビゼー。やはりこれが一番日本人の耳に聞き慣れた拍子感なのかなと思わされるくらい、新日本フィルの演奏が素敵でした。

聞き慣れて心地よい音楽だったのとちょっと疲れていて目を瞑って聞いていたせいか、半分寝ていて半分起きているみたいな不思議な感覚に襲われ、終わった後も帰りもぽーっとしていました。非日常感も相まってか脳が休まってちょうどよかった!

また何かいいコンサートがあるか探してみて折を見て行ってみたいと思います。

【令和5年・鑑賞記録】山田和樹(指揮)/バーミンガム市交響楽団/チョ・ソンジン(ピアノ)

先月末の韓国語の翻訳でいっぱいいっぱいのときに、ずっと楽しみにしていたチョ・ソンジンのコンサートに行ってきました。



チョ・ソンジン本人のリサイタルではなくゲストのような感じだったためショパンのピアノ協奏曲第2番の1曲だけでしたが、生演奏が聴けて本当に感動しました。

チョ・ソンジンのピアノ、素晴らしかったです。素晴らしかったのですが、先日も書いたように締め切りに間に合うか不安だったのであまり集中できなかったし、そしてなんだかちょっとすっきり(?)感動できない印象がありました。

ピアノもオケも素晴らしかったのでなぜだろう・・・と思っていたのですが、帰っていろいろな人の感想を読んで、あ、だからか!と思ったものがありました。

その方いわく、チョ・ソンジンのピアノがあまりに素晴らしすぎて、もうウィーンフィルとかベルリンフィルとか、一流のオケでないと受け皿としてきついんじゃないかと。

なるほどなと思いました。

後半のバーミンガム市響のみの演奏(エルガー:交響曲第1番)は先に書いた不安も吹き飛ぶほど素晴らしかったのですが、やはりピアノ協奏曲はチョ・ソンジンのピアノのレベルがずば抜けすぎていてちょっとうまく噛み合えなかったという感じでした。

あとはほかにも、ショパンの協奏曲自体、ショパンが何をやりたかったのか分からないという感想などもあり、ほおほお・・・となりました。

チョ・ソンジンはアンコール(ソロ)でラヴェルの「道化師の朝の歌」を演奏しましたが、音の粒が立っていて、キラキラしていて、力強くて、生き生きしていて、正直こちらのほうが震えました!はー、天才だ・・・としか言えないくらい。今度は是非ソロリサイタルを聴きに行きたい。去年か一昨年のソロリサイタルに行かなかったことが本当に悔しいです!




とにかくチョ・ソンジンの演奏は、次の日も名古屋まで追っかけたいと思うくらい(そんなことを思うのはなかなかない)でした!

そうは言うものの、バーミンガム市交響楽団の演奏も素晴らしかったです。エルガーはイギリスの作曲家です。1908年の作品ということで近代で、指揮者の山田さんもコンサート前に仰っていた、スターウォーズのテーマ曲っぽい部分もあったりして壮大な曲でした。

壮大さというのは、例えばロシアの作曲家の曲とかそういう大きな大陸の壮大さとは全然違うのですが、同じ島国でもイギリスだとやはり日本と違って山より丘や野原が多いからかこういう壮大な曲が書けるのだなという印象です。(山田さんの解説では、エルガーはイギリスの風景を見ながらこの曲を書いたということだったので)

感想はいろいろあるけど、でもすごく良い演奏会で拍手もなりやまず、そして結構女性のチョ・ソンジンファンが多いということも知りました笑。

このコンサートでもらったチラシでまた11月にもチョ・ソンジンのコンサートがあると知ったので、チケットが高かった(安い席が残っていなくて22,000円💦)けど買ってしまいました。また1つ先の楽しみが増えました😊



ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団はレベルの高いオーケストラだそうなので、楽しみです。この楽団の楽長も務めたことのあるメンデルスゾーンの曲が演奏されるのはもちろんのこと、何よりチョ・ソンジンのシューマンが楽しみです!


出演

[ピアノ] チョ・ソンジン

曲目・演目

メンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーネの物語」op.32

シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54  (ソリスト:チョ・ソンジン)


メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 op.56 「スコットランド」

2023年7月6日

手持ちの仕事がすべて終了!

先ほど韓国語翻訳ともう1つの仕事を納品してようやく手持ちの仕事が全て終わりました。

まだ受領のメールが届かないと100%安心とは言えませんが、それでも心は解放感でいっぱいです。3週間ぶりにゆっくり休める。

やはり翻訳は楽しいけれど頭も体もものすごく疲れます。。。

頭を休めたいので明日は気晴らしにどこかへでかけようと思い、いろいろ考えてみました。

で、先日のチョ・ソンジン&バーミンガム市響のコンサートでかなりリフレッシュできたのでまたコンサートに行こうと思って検索したところ、ちょうど明日の日中に新日本フィル&村治佳織さんのコンサートがあるようなので(しかもS席5千円)、今日納品した翻訳に何も問題がなければ行ってこようと思います。


アランフェス協奏曲やビゼーのアルルの女もいいし、ブラジル風バッハも聞いてみたい。

村治佳織さんは同い年で、高校生のころだったかに雑誌のインタビューを読んで同い年ながらに素敵だなと思って以来好きな演奏家さんですが、テレビや動画などでしか演奏を聴いたことがなく生演奏を聴くのは初めてです。

まだ席の空きも多いので翻訳の受領のメールが来てからチケットを買おうと思っているのですがなかなか来ない・・・。

納品した翻訳に何も問題がないことを祈る・・・。土曜日も同じプログラムでやるみたいなので、土曜に出かけるのはちょっと面倒だけど万が一のことがあったら土曜日に行こう・・・。


そして次に読む本は、もう1冊積ん読本が残っていたまたもや夢野久作の短編集にしました。やや厚めの本ですが、先日読んだ「押絵の奇蹟」に収録されていた「氷の涯」がこちらにも収録されているのでそれほど読むのに時間はかからないかなと思います。




ブログをばーっと書いたら少し頭が落ち着きました(笑)。ひとまず休みます😌

2023年7月4日

天地明察読了

翻訳作業もひととおり終わって一段落つき、あとは誤字脱字のチェックや文の見直し、体裁を整えてなんとか金曜日の締め切りまでに間に合いそうです。良かった!

もう1つ併行してやっている仕事もなんとか問題なく間に合いそうなので本当にほっとしています。

今日は先週お休みしたギターにも行って(練習は全くできてなかったけど)、1週間ぶりに外にでました😂

眠気は時々やってくるけど体が元気なのでありがたい。あともう少しがんばります。


さて、今日ギターに行く電車内でやっと!天地明察を読み終えました。すごく良かった!いろいろ感想があるのでそれはまた追々。

最後まで読んだら、後書きが養老孟司さんでした!しかも私の憧れ(?)の伊能忠敬について言及されていましたが、私も天地明察の映画を見た時に伊能忠敬のことを思い出したのでおっとなりました。

というか、童門冬二さんの伊能忠敬の小説を読んだときに、渋川春海や関孝和の名前が出てきたような出てきてないような・・・。

年代的には伊能忠敬が100年ぐらい後のようですが、渋川春海の功績によって設置された天文方にいた当時31歳の高橋至時に50歳くらいで弟子入りしているのでそのことが書いてあったような気もします。



ひとまず今日はこれにて。締め切りが終わったら今度は何読もうかな・・・。