2024年8月31日

【読了】史跡は語る 武蔵国(埼玉)編 教科書が伝えない歴史考察



「なんにもない」と県民が自虐する地、埼玉県を旅した歴史家・渡辺惣樹氏が史跡の声を伝える──濃厚歴史浪漫
日米近現代史研究家である著者の今回の考察領域は、時間軸では日本の古代から近代までとロングスパンだが、視察エリアは武蔵国こと「埼玉県」限定。そう、「なんにもない!」と県民が自虐する埼玉県の古墳、寺社、城跡、古道、碑文、地質遺産を、著者が現地で視察し、戦後教育が教えなくなったエピソードにも触れつつ歴史浪漫を解説する。エリア限定と言いつつも、ひっそり佇む寺社、道端のひとつの碑文も歴史の眼で見れば、その場にいながら日本列島各所からピースが集まり、日本国史のダイナミズムが全国規模で広がるのである。全埼玉県民必読の書。

<本書の内容>
第1章 家康の遺骸は日光にはない(川越市)
第2章 渡辺綱は鴻巣からやってきた(鴻巣市)
第3章 氷川神社は古代祭祀場だった(さいたま市)
第4章 芭蕉の旅と斎藤実盛(草加市・熊谷市) 
第5章 金錯銘鉄剣に記録された115文字(行田市)
第6章 日本武尊の東征の足跡を追う(秩父市)
第7章 古秩父湾 海辺だった秩父(秩父市・長瀞町・小鹿野町)
第8章 飯能戦争、帰化人、大東亜戦争の史跡(飯能市・入間市)
第9章 武蔵国から思う鎌倉武士の憂鬱(狭山市)
第10章 室町の関東はカオス、謀略に沈んだ太田道灌(越生町)
第11章 深谷の不思議と渋沢栄一(深谷市)
 

<本文より>
私には、旅先の現場に立つと、しゃべりたくてうずうずしている先人たちの声が聞こえる。
おれのことを、わたしのことを書いてくれという声である。
第2章で扱った渡辺綱は辞世の句を次のように詠んだ。
「世を経ても 分け越し草の ゆかりあらば あとをたつねよ むさしののはら」
先人の最高の喜びは、後世の人々にゆかりの地を訪ねてもらうことに違いないのである。
(出典:Amazon


埼玉県の史跡とそこにまつわる歴史が紹介された本です。史跡の紹介とは言いつつも、著者が歴史家の方だけに歴史の話のほうが多めでした。


「奔馬」の感想と比べたらあっさりな感想ですが(笑)、しっとり感と情趣感がにじみ出た大人の歴史旅という感じでよかったです。


歴史も良いですが、秩父(長瀞)の地形の成り立ちや江戸の地形をはじめとする地理学も盛り込まれていて、様々な角度から史跡が語られている点も今後の自分の旅の参考にもなりそうです。


学問は人生を楽しむためのものである。出世や威張るための道具ではない。地学の知識も人生を楽しむには良きツールである。(P175~6)


という言葉もいいですね。


渋沢栄一のお父さんの話のところで、私の尊敬する伊能忠敬の話もちらと出てきました。渋沢栄一のお父さんは藍染めで使う藍玉で成功した人なのですが、婿養子でしたが奥さんがとても出来た人だったようです。当時は婿養子に入ると大体奥さんが強くて大変だったようで、伊能忠敬も婿養子ですが伊能忠敬の奥さんは悪妻だったようです(笑)。


もう1つ、この本を読んで楽しかったことがありました。


源氏や平氏のことに関するお話も多かったのですがこの本を読む以前に仕事で平家物語を少し読む機会があったり、渋沢栄一のお父さんについても、少し前に書籍の校正で読んだことがありました。さらには、芭蕉の話も、先日校正をしたWeb記事で話題にのぼっていたのでかなり調べたし、大宮の氷川神社も何度か行っている好きな神社。


さらには出雲大社の話題も出たり、渡辺(渡部も含む)姓について「起源は埼玉の鴻巣」だというのも、私の父方の祖母の旧姓が「渡部(わたなべ)」でうちの周りにはたくさんある名字なので、なんだかいろいろな点がつながって教養が深まった感じがしてうれしかったです。


1つ、ん?と思ったのは、ちょっと校正的に「あれ?」と思うところがあったことです。今思い出せるだけで2つか3つ、ありました。徳間書店さんは中で校正されているのかな?こういうのも本を読んでいて勉強になりますね。



さて、昨日のブログでしばらく本は買わないでおこうと言っていたのですが、先ほど仕事で使う文具を買いに近所の本屋に行った際に、いろいろ本を見ていて1時間ぐらい滞在してしまい、1冊買ってしまいました😅



コロナ禍以降、コロナ対策のことだったりフリーランスのお仕事のことだったり給付金のことだったりについて調べるのに、それまでほとんど見ていなかった「X」がとても役に立ったのですが、それ以降朝晩お布団の中で「X」をやたら見てしまう癖がついてしまいました。


もともとはPC派なのでスマホはそれほど使わないほうだとは思うのですが、スマホを見る時間を減らしたいです。


帰ってAmazonで買ってもよかったのですが、やっぱり本屋で購入するのもいいですね。年も取ってきたし、ちょっとずつ生活にアナログを増やす(取り戻す?)ようにしていきたいなと思っています。


はて、、、仕事をしないまま16時になってしまいました。どうしよう・・・



【読了】奔馬

 今日は仕事しようと思ったけれどなんだかやる気が・・・納期に余裕があるから明日でもいいかと思ってしまっています。。。



親友・松枝清顕を看取った本多繁邦の前に、清顕と同じく脇腹に三つの黒子をもつ青年・飯沼勲が現れる。腐敗した政財界と疲弊した社会を変えんと志す勲は、右翼塾を主宰する父や塾生、恋人や財界重鎮らに翻弄され孤独を深めていく。本多の見守るなか、純粋さを求める青年は、たった一人の叛乱へひた走るのだった――。愛と裏切りが渦巻く『豊饒の海』第二巻。(出典:新潮社HP)

三島由紀夫の『豊饒の海』シリーズ二話目、「奔馬」を読み終えました。


すごかった、のひと言です。この「奔馬」の主人公の一人、飯沼勲は三島由紀夫自身のことなのかなと思ったくらい、劇的なラストでした。


大人たちの様々な思惑に翻弄される、勲の純粋透明な志。


「まだ若いからだ」「大人になれば清濁併せ呑むということが分かるだろう」「素晴らしい志だが同時に危険だ」などと大人たちに諭され、知り合う大人たち、父親の知人(と勲は思っているが過去世で親友だった)の本多、父親と母親、父の弟子の男、そして年上の愛する人に純粋だけではいられない世界を嫌というほど見せられなすりつけられる。


それを誰でもない自らの体験で思い知らされたこと、そしてそれを自分ではどうしても受け入れられないことに対する絶望・・・。そして目に輝きを失ってしまう勲・・・。


本多が清顕から託された夢日記の意味とそれが分かったとき。そして法廷で軍人下宿を営む年老いた男、北崎の証言場面。そう来るか!と痺れました。


長編小説(春の雪より長い505ページ)なのにだらける部分が少ないので(とは言え、勲が愛読する「神風連」の話は長かった)物語の世界へ没入させる力がすごい。そしてそれなのに随所に上記のような「はっ」とさせられるポイントがあり、第一話のあれか!と突然読者目線に戻させられる。臨場感と立体感のあるすごい小説だと思いました。


最後の「解説」も三島由紀夫を直接知る方のようで、この小説を書く上での様々なエピソードなどが味わい深くてすごく良かったです。


タイトル「奔馬」もいいですね。辞書には「勢いよく走る馬。また、勢いの激しいことのたとえ」とありますが、前回の「春の雪」という静かな感じのするタイトルとの対比もいいし、第一話「春の雪」の後半の清顕から第二話の勲に続く「激しさ」をよく表しています。


熱く書いてしまいましたが、私が言うまでもなく、三島由紀夫、天才ですね・・・。人気があるのがよく分かります。


ちなみに、この「【解説マップ】三島由紀夫はなぜ人気?何がすごい?代表作や思想まで考察します」の記事、おもしろかったです。偉人マップ(作家)もおもしろいです。


次は「暁の寺」。勲が最後に見た情景と次の物語がどのようにつながるのか、楽しみです。



2024年8月30日

仕事が落ち着いてしまいました

東京は昨日(一昨日の夜からだったかな?)からずーっと大雨です。台風の影響で秋雨前線が刺激されている?とかなんとか。


梅雨時季もそうですが、夏の終わりのこの時季も湿気が多いし夏の疲れもあって体がだるいです。


さて、8月の繁忙期が終わり、仕事が落ち着いてしまいました。


昨日また1つ書籍の念校の仕事が来ましたが、赤字がちゃんと反映されているかや表記統一されているかを確認するだけで全部読む作業ではないので1冊丸々読むよりは手間はかからなそうです。


しかも私が初校をしたものなので、どこがどう直っているかなどが確認できて勉強になります。


納期に少し余裕があるのでこちらの仕事は週末にやることにして、別件のやらなければいけないことを終わらせたり読書したりして秋(とまではまだ言えないか)の長雨を楽しみます。




通勤が終わったのでちょっとほったらかしになっていた三島由紀夫の「奔馬」。こちらはあと少しなので、次の出勤までに読み終えてしまおうと思います。


もう1冊はこちらもあと数ページで終わる、歴史を交えながら綴られた埼玉県の史跡巡りの本、「史跡は語る」。


Kindle Unlimitedで見つけたこちらの本もとってもおもしろい。「地理おた部」の「おた」ってオタクのことかと思ったら、「地理おたすけ部」の略でした!




他にもちょこちょこと読んではほったらかし・・・の本が複数ありますが、思ったよりも積ん読本が減っていてびっくりしました。もうしばらくは新しい本は買わずに積ん読本を減らしていこうと思います。


2024年8月26日

【東京散歩】高円寺阿波おどり

この週末は杉並区の高円寺で阿波おどりが開催されていました。


コロナの期間中は中止になったようですが、去年再開。今年も無事開催されたようで、すごく賑わっていました。



JR中央線・総武線の高円寺駅、または丸ノ内線の新高円寺から会場にアクセスできますが、おすすめは新高円寺側です。


友人は高円寺駅側から行ったそうですがすごく混んでいてあまりよく見えなかったようです。私は新高円寺駅のほうから見に行ったので比較的空いていて結構バッチリ見ることができました。


見た感じでは、新高円寺の商店街からスタートして高円寺駅方面へ向かい、高円寺駅前の大通りのほうからまた新高円寺方面に向かってくるルートのようでした(新高円寺駅前の青梅街道が出口)。


(いつものように何を撮りたいのか分からない写真🤣)



どのくらいの数の連隊が参加しているのか分かりませんがかなり多いようで、次から次へとひっきりなしにやって来て見応えがありました。


歩行は新高円寺→高円寺の商店街へ一方通行、そして高円寺駅→新高円寺方面へ一方通行でしたが、スタッフの方々の誘導の連携がスムーズなことやお客さんも慣れているのか、少なくとも新高円寺駅付近ではごったがえしもなく、混雑も少ないようでした。


地元の多くの方々がスタッフとして動いていらっしゃったのだろうと思いますが、地元愛に溢れていて和やかな雰囲気も良かったです。


踊りは、チビッコからお年寄り、外国人の方々もチラホラ。老若男女、国籍問わず、皆さん生き生きとしていて素敵でした。


お囃子もとても耳に心地良かった…というか、日本人のDNAのなせる業なのでしょうか、笛や太鼓の音を聴くだけで目頭や胸が熱くなり、じーんとして涙が出そうになりました。


私がたまたま見たものの印象なだけかもしれませんが、今年は日本各地でお祭りがとても盛大に行われ、どこもとても賑わっていたようで、とってもうれしく思います。


民俗学的には「お祭り」には邪気祓いのような意味もあるようです。あんな活気溢れる日本人の姿を見たら、邪気もぴゅーっと逃げていきそうですね。というか、逃げていってほしいですね。


とっても良い1日を過ごせて大満足でした。


そして今日も書籍の再校をがんばってやっていたら、突然会社の社長からお電話があり、なんと!時給がアップされることになりました。うれしい~。なんか私もお祓いされたのかしら(笑)。


関わっている媒体の形態が来年から少し変わるようで、それも含め、もう少しいろいろとお願いしたいと言われました。


私も、あまり器用な性格ではないのでいろいろなところの掛け持ちはやはりストレスが多かったりスケジュールの管理も大変で、できれば1つ(または2つ)のところで集中してがんばりたいなと思っていたところでした。なので、この会社でもう少し集中的にやりたいと伝えました(でも、後で考えたら「出勤(常駐)して」って言われないかしら…とちょっと不安です😂)


ひとまず先週持ち帰ってやっていた仕事も無事終わったので、明日発送して少しひとやすみします。


2024年8月24日

今更ながら電子辞書

以前韓国語の翻訳をしたときに、必要に迫られて朝鮮語辞典が入ったカシオの電子辞書を中古で1万円弱で購入しました。


私が買ったのはこのタイプです。中古でも全く問題なく使えています。音声もばっちり出ます。




そのときはとても重宝して大活躍したのですが、それ以来韓国語翻訳の依頼がないのでちょっと気になった単語を調べるとき以外はしまっていました(韓国語関連の本の校正のときにはまた活躍しました)。

で、今になって気づいたのですが、すごくたくさんいろんな辞書が入っていて韓国語翻訳のときだけではなく校正の作業にもとても役立つことに気づきました。


何しろ、こんなに様々な辞書が入っていたのです!気づかなかった…というか、気づいていてもおまけぐらいに思って、本格的に使うものだとは思っていませんでした。




オンライン辞書&事典検索サイトの「ジャパンナレッジ」のパーソナル版の会員になっているので、校正や翻訳(チェッカー含め)の仕事ではそちらで調べ物をすることも多いです。あとは普通にネットも使います。


でもパソコンを使って調べ物をすると、どうしても他のことに目がいっていつの間にかネットサーフィンをしたりして集中力がそがれることが多いのが悩みでした。


しかし、手持ちのこの電子辞書でかなり事足りることに気がつき、パソコンは電子辞書では調べきれないことだけに絞って使うようにしたら、かなり効率が上がったような気がします。


基本的に校閲作業があまり必要のないもの(再校など)の作業のときは、パソコンは起動させず、電子辞書と紙の辞書のみで対応し、どうしても調べないといけないときはスマホか、付箋を貼っておいて後で調べるという対応をしています。


下を向いて作業をしていて、何か調べようと思ってパソコンに向かってキーボードに手を伸ばす行為もなかなか面倒だし、集中力が途切れる一因になっていた気がします。


なにしろ、こんなにたくさんの種類の辞書が入っているのです。









一応韓国語辞書がメインで入っているものとして買ったのでキーボードにはハングルも。これもありがたい。パソコンのキーボードのハングル打ちは慣れないとやりにくいので。




1万円しなかったのに黄ばみもなくとてもきれい。不具合もなかったです(今も起きていない)。


英語の辞書もジーニアスとプログレッシブが入っている!


基本は紙の辞書が好きで電子辞書はやや敬遠していたのですが、ちょっと調べたいときにとても便利だと今更ながら気づきました。


外国語をちゃんと勉強するときにはもちろん紙の辞書がいいと思っていますが、趣味で読み物を読むときなどは電子辞書がすぐ手にとれていいですね!


私が持っているのは古いバージョンなので他の辞書を追加できるのかよくわかりませんが、できるならほかの辞書もほしいです(今欲しいと思っているのは仏語、ロシア語、ポルトガル語)。


ちなみに、スマホにもいくつか辞書を入れているのですが、どうしてもタッチパネル?のキーボードが好きではなくてあんまり使っていません。昔のガラケーとかこの電子辞書とか、少しでも打鍵感があるものが好きみたい。指がピアノを弾くのに慣れているからかもしれません。フリック入力に慣れていないので未だにガラケー打ちで文字入力しているのもあるからかも(笑)。


何はともあれ、この電子辞書をいろいろ活用してみたいと思います。


2024年8月23日

昨日からまた在宅(嬉)

やっと出勤の仕事が終わり、昨日からまた在宅です。

帰りに2本仕事をもらって帰ってきたので、在宅でそちらの仕事をしています。

出勤中に、「(お仕事が)あればいつでもやります」アピールしていたので、ちょうど出たカレンダーと書籍の再校のお仕事をいただきました。

少し締め切りがタイトですが、調べ物が楽しかったり読み物がちょっと「えーっ、そんなことがあるの!?」というノンフィクションのお話でおもしろい内容なので、楽しんで作業しています。


8月は会社全体が忙しいようでしたが、9月に入ってだんだん落ち着くようです。隣の席の方も出版社から次から次へと依頼が来ててんてこ舞いの様子でした。私が出勤中の間、初校(1回目のゲラ)がバンバン出ていて、今週くらいからは再校(2回目のゲラ)が出てき始めたので、今手持ちのものを1本納品して、あともう1本くらい再校の仕事がもらえるといいけど、どうでしょう。本当に繁忙期と閑散期の差が激しいです。


来月もまた雑誌の仕事で2週間弱ほど出勤しなければいけませんが、ひとまずしばらく在宅で落ち着いて仕事したり好きなことをしたりして解放感を味わいたいと思います。



2024年8月18日

【読了】人間・この劇的なるもの

もう1冊、難しくてなかなか読み進められなかったこちらの本も読み終えました。


「恋愛」を夢見て「自由」に戸惑い、「自意識」に悩む……。
「自分」を生きることに迷っているあなたに。若い世代必読の不朽の人間論。

人間はただ生きることを欲しているのではない。現実の生活とはべつの次元に、意識の生活があるのだ。それに関らずには、いかなる人生論も幸福論もなりたたぬ。
――胸に響く、人間の本質を捉えた言葉の数々。自由ということ、個性ということ、幸福ということ……悩ましい複雑な感情を、「劇的な人間存在」というキーワードで、解き明かす。「生」に迷える若き日に必携の不朽の人間論。解説:佐伯彰一。Amazonより)

 

「劇的」というのは、日本語でいう「ドラマティック」という意味ではなく、「劇のような」というほうの意味です。


主にシェークスピアのハムレットを題材にしながら(福田恆存はシェークスピアなどを翻訳した翻訳家でもあるので)、「自由」や「個人主義」「個性」という錯覚を痛烈に批判しています。


自然のままに生きる、自由に生きるということに生きがいや最大の価値を置いて生きる若者たちに、私たちは全体のなかで生きているのであって、完全な自由などあり得ない、あり得ないのに自分は自由を求めていると錯覚し、自由を求めて彷徨っているだけだ、と言ってのけます。


私も以前は「自由がいい」と思っていたし、大勢のグループにいるのも苦手でどちらかというと一匹狼派で群れるのが得意ではないので、特に若いころは「自由」とか「個性」とかを追い求めていた気がします。


だけど大人になるにつれ、若いときに思っていた「自由」や「個性」はたんなる夢想だったなと思うようになりました。福田恆存の言うとおり、どうやったって自分は全体のなかに生きているという現実にぶちあたるわけですから…


なので、「この全体性のなかでどういう役割を選びとり演じきるのか」というのは自分の意思で選べ、それこそが人間が欲している生きがいである、という福田恆存の言葉はすとんと腑に落ちました。


内容が難しいので全部を理解できたとは到底言えませんが、この本を読んで感じたのはそんな部分です。何回も読み直したい1冊です。


【読了】「日本人とは何か」がわかる 日本思想史マトリックス

読み始めてから忙しくなり、なかなか読み進められなかったのですが、このお休みに一気読みしました。

歴史をひもとくと、古代の日本社会は多様な思想や価値観に満ちていた。
しかし、いつからか「日本は集団主義的で同調圧力が強い」と評されるようになった。
いったい、なぜ? ターニング・ポイントは?
我々の「日本人意識」は、どのように形成されてきたのか?
そもそも、我々はいつから日本人なのか?

本書では、古代から現代までの「日本人のものの考え方」のルーツを探る。
その過程で、時代ごとに影響を与えた思想を「マトリックス」で図解・整理。
日本思想史を俯瞰する「見取り図」を通じて、その構造と大きな流れを読み解いていく。

壮大な物語を読み解くナビゲーターは、駿台予備校のカリスマ世界史講師であり、YouTubeで14万人のファンがいる茂木誠氏。
世界史の視点から、日本で繰り広げられる「大いなるドラマ」を解説する。

日本人の思考様式・行動原理・アイデンティティは、どのように醸成されてきたのか?
日本人とは何か、どこへ向かうのか。
そのすべてがわかる! (Amazonより)

とてもおもしろくて読みやすかったので土日で一気に読み終えました。

「"日本人意識"がいかに形成されたか」をテーマに、古代から現代までの日本人の思想の変遷が書かれていました。

日本の歴史に世界の歴史がどう絡みそれがどのように日本人の思想を形作っていったのか、また国内のどのような状況からその思想が生まれたのか等がわかりやすくまとめられていて、思想をベースに歴史を考えると歴史の流れがより分かりやすいなと思いました。

後半の近現代の章はちょっと心理的にしんどかったです。ちょうど今終戦を迎えた夏時期だし、やはり日本が戦争にどう突き進んでいったかの話は日本人のその時代の思想が大きく影響したのだと感じました。


しかし、、、思想はやはり時代によって様々だと痛感しました。その時代の状況(環境)に応じて生まれてくるので、今当たり前だとか正しいと思っていることも時代が変わればただの「その時代の思想」なんだなとつくづく思いました。


それはともかく、フラットな目で見るといろいろな思想家が紹介されていて、その人物像なんかも知れてそれはそれでおもしろかったです。

ちょっと分厚い本ですが、歴史が好きな方にはおすすめです。

【読了】シンプルな英語

金曜日の在宅を合わせて、3日間家でのんびり過ごすことができだいぶ疲れも取れました。明日からあと数日の出勤をがんばりたいと思います。


技術英語のスペシャリストにして、ベストセラー『会話もメールも英語は3語で伝わります』の著者が、より高いレベルを目指したい方々のために、最短・最強の英語学習法を公開します。
英語力をつけるカギ、それは「主語と動詞を組み立てる力」にあります。それはなぜか。

●英文は主語Sと動詞Vが必ず含まれます。基本的に省くことはできません。
●日本語と違って主語は省けません。語順も決まっています。
●だから、スピーキングも、リスニングも、リーディングも、「動詞」がしっかりわかり、「動詞」をしっかり決めることができれば確実に上達します。
●英語はブロックごとに主語や動詞を組み立てて論理的に相手に伝えます。ストレートでローコンテクストな言葉です。
●その意味で、英文の組み立てはプログラミングに似ています。
●だからこそ、まず主語を決め、主語に続ける動詞で英文の構造を決めます→主語と動詞を組み立てる力が重要です。組み立てる力がつけば、あなたの英語は確実にレベルアップします。
●まずは上記の点を抑えた上で、動詞や組み立てを円滑にするための決まりごととして「助動詞」「時制」「態の選択」をマスターしていきます。
●組み立てを強化するアイテムとして「冠詞」「前置詞」「副詞」などを理解していきます。

この順番で英語を学んでいくとメキメキ上達します→これが英語学習法の完成形となるわけです。
英語の習熟に近道はありません。しかし、最短の学習法はあります。
シンプルでありながら、世界で通用する、恥ずかしくない英語、を本書で是非身に付けてください! (Amazonより)

Kindle Unlimitedになっていたので読んでみました。

途中まではメモを取りながら読んでいたのですが、だんだん面倒になってきて、残りはざっと読み。

技術英語の組立方のロジックが分かりやすく説明されていると思いました。

ですが、知っていて損はないけれど、この本のとおり実践しても複雑な文を読んだり書いたりする能力はアップできないだろうと思うので、あくまでも技術英語などの「誰にでも分かる英語が書きたい」という時の補助知識ぐらいに考えるといいのかなと思いました(技術翻訳に携わる方には分かりやすくていいと思います)。

個人的にはちょっと物足りない感じでした。がっつり読み書きしたい人にはあんまりおすすめではないかも…です。


2024年8月14日

今日は早めに帰宅できました

日・月にとある本の校正で出勤し、今週から定期的に関わっている本の校正に移行して引き続き出勤しています。


7月末から在宅&出勤でずっと仕事をしていてまぁまぁヘトヘトではありますが、8月が忙しいのは早くから分かっていて体調管理に気をつけていたのでまだ疲労困憊まではいっていません。


私の場合胃腸の疲れから夏バテになったり自律神経が乱れたりすることが分かっているので、まず食べ過ぎないこと、冷たいものを極力食べない、飲まないことを心がけて、あとはとにかく早く寝る・よく寝ることを徹底しているだけで、かなり軽減できているように思います。


今日は、出校(ゲラが出てくること)が一旦中休み状態になったので早めに…といっても家に着いたのは6時頃でしたが帰宅できました。嬉しい~。明日からまた続々ゲラが出てくるらしいですが。もうしばらくがんばります! …が、金曜日は台風でもしかしたら在宅かも!?


しかし束の間のゆっくりできる時間なのに、ブログを書いているという…。そしてもう23時…。でも一応やらなければいけなかった雑用は片付けました。


話が飛びますが、少し前にとある筋からDHCの「English+」という文芸翻訳講座のテキストを譲っていただきました(いろいろ公に書きにくい事情があるのでぼやかした表現ですが、メ○カリです、そしてほかの講座のテキストもゲットしてしまいました笑)。


DHCの通信講座はすごくしっかりしていて好きだったのですが、先日もブログで書いたとおり教育事業がなくなったため、通信講座もなくなってしまいました(涙)。


ので、ちょっと興味のあったこちらのテキストを見つけて手に入れることができて嬉しい。


添削サービスなどはもちろんありませんが、テキストがやはりすごくよくできていてパラパラと読んでいるだけで楽しいし、勉強になります。


今の仕事が落ち着いたら、ゆっくり読んだり余裕があったら勉強してみようと思います。




実家に帰ったら、以前受けた講座のテキストもいくつか残っていると思うので、引っ張り出してこちらもちょっと勉強し直したいなと思ってみたり…。


実は、今は余裕がないですが、文芸翻訳を学びたいなと狙っている講座があります。仕事がしたいというよりももはやいろいろ学ぶのが趣味になっていまして…。少し余裕ができたらこちらの講座も受けてみたいなと思います。

2024年8月10日

貴重なお休みはあっという間

貴重な1日のお休みがあっという間に終わってしまいました😭


火曜日校了の本のお仕事があるため明日明後日出勤し、火曜日からはいつもの雑誌のお仕事でハードな週です。19日か20日あたりまで出勤かもしれません。


ちょっと大変ですが、その後も何かしら書籍の仕事をいただけるといいな…。家で仕事をする分にはある程度自由に作業ができるので精神的にも肉体的にも楽なので。


本のお仕事はなんだかんだ言っても楽しいです。


子どものころ…と言ってももう転校した後だったので小学6年生か中学生に入ったばかりのころだと思いますが、そのころは本よりもどちらかというと雑誌や漫画をよく読んでいて、ぼんやりと雑誌の裏方の仕事がしたいなと思っていました。


それが今、意図したわけでもないのになぜか雑誌の裏方と言ってもいいようなお仕事をしているから不思議です。


テレビのお仕事も内容が多岐にわたって楽しかったのですが、本はまた別の楽しさがあります。こちらも意図したわけでも目指していたわけでもありませんが、結局メディア系に落ち着いているのは向いているからなのかなと最近なんとなく感じています。特に出版系のお仕事をもう少し増やせたらなと思っています。


なにはともあれ、三島由紀夫の「奔馬」も届いたことだし、明日からまたがんばって出勤したいと思います。お盆休みで電車や都内は人も少ないかもしれないので、案外いつもより疲れずにすむかもしれません。


立秋を過ぎて秋の気配も感じる今日このごろで、今のお仕事が終わるころには残暑の季節になり夏も終わりに近づいていることだろうと思います。

2024年8月9日

【読了】豊饒の海(一) 春の雪

ともに華族に生まれた松枝清顕と綾倉聡子。互いに惹かれ合うが、自尊心の強さから清顕が聡子を遠ざけると、聡子は皇族との婚約を受け入れてしまう。若い二人の前に、燃えるような禁忌の道が拓かれ、度重なる密会の果て、ついに恐れていた事態を招来する──。
三島が己れのすべてを賭し、典雅なる宿命世界を描き尽くしたライフワークたる『豊饒の海』第一巻。


容姿端麗でプライドの高い侯爵の息子、清顕(きよあき)と2つ年上で幼馴染みの落ち目の伯爵家の娘、聡子(さとこ)の悲恋の物語。


歪んだ自尊心から自らの屈折した恋心に翻弄される清顕。2歳年上で大人びた聡子の前に出ると自分の幼さに押しつぶされそうになり、自尊心を保つために聡子に冷たい態度を取ったり、傷つけるような手紙を出す。


その手紙がもとで結果的にさらに自分のプライドを自ら傷つけてしまう。聡子に傷つけられたと怒る清顕は、皇族との婚約の話が出た聡子のことも冷たく突き放し、聡子は婚約を承諾することに。


そこから突然自分の恋心に素直になる清顕とそれを受け入れる聡子。。。


この時点で、皇族を欺いて自分の幼いころからの恋心に素直に従うことにした聡子は、さまざまなことを覚悟をしている様子が窺えます。その大人びた聡子にどうしても反発してしまっていた清顕も、前半とは打って変わって自らの恋心に素直になり突っ走るものの、最終的に待っていたのは悲しい別れと結末…


そして清顕の友人、本多の献身的な友情。


…と、恋愛と友情の話ではあるのですが、この四部作の大きなテーマは「輪廻転生」なのだとか。


この次の「奔馬」は、「春の雪」の最後のシーンから18年後、本多が38歳になったときに清顕の生まれ変わりである青年に出会う話から始まるようです。


手に取ったときはこんな分厚い本を読み切れるかなと思っていたのですが、電車の中で夢中で読みました。次の「奔馬」も明日明後日には届くようなので、来週も…といっても週末も出勤するのですが、電車の中で夢中になって読めそうです。



2024年8月7日

体が楽が一番

予定されていた媒体のゲラがなかなか出てこず、会社で別の書籍の校正作業をしています。


明日から少しずつ出てくるらしいですが、3連休のうち日・月曜も出勤することになっているのと、来週からいつもの雑誌の仕事で遅くまで作業することになりそうなので、今週は早めに帰宅しています。少し早めに帰ると(といっても19時に退勤して20時前に家に着く感じですが。朝は遅めの出勤です)かなり体が楽。


家に帰ってもまだ余力があるので、翌日もそんなに疲れも残らず出勤できます。


体が楽なのが一番と思ってしまう今日このごろ…ではないですね。前々から体ファーストで生きている気がします(笑)。


ほどよく眠気もやってきて良い…今週はちょうどよい感じで仕事ができれうれしいです。いつもこんな感じだったらいいのにな…。


ということで、明日あたりから少しずつ忙しくなってきそうですが、元気にがんばりたいと思います。

2024年8月5日

お盆すぎまで駆け抜けます

発表会も無事終わり、ほっとひといきも束の間。明日から出勤の仕事です。


「メチャクチャ忙しくなってきました~」と会社の方からご連絡があったので、ここからお盆すぎまで息つく暇もなさそうです。


最近もう1つのところの仕事がほとんどないので(いつぞやにミスしてしまったからかなと思います…😓)、明日から出勤する会社の仕事がほぼメインになっています。


この会社の仕事が閑散期になったら収入のことなどが心配ではありますが、この2つの会社の繁忙期と閑散期が重なりがちで出勤しながら帰ってからもう1つの仕事をやっていたりしていたので、今は集中できて少し身体も気も楽です。


この会社のなかで複数の部署からの案件が重なることはありますが、その場合は向こうも把握してくださっているのである程度融通をきかせてくれますし、やっぱり1つの会社に集中するほうが私には合っているのかもしれません(人間関係もあまり幅広くできないし…)。


いろいろ時と状況に合わせてやっていきたいと思います。


電車内で読んでいる三島由紀夫の「春の雪」が半分を過ぎて物語が急展開し、おもしろくなってきました。これは『豊饒の海』シリーズの第1巻で、「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」と4巻まであるので先が長いですが、最終巻までなんとか読み終えたいと思っています。


Wikipediaの説明を読むと、巻を追うごとに難しそうなテーマになっていく感じがします。最終巻の入稿日に割腹自殺したのですね…。


ここからお盆すぎまでの通勤中に「春の雪」を読み終えて、次の「奔馬」に進めたらいいなと思います。


そのほか、NHKの「100分で名著」で6月に宮本常一の「忘れられた日本人」がやっていて、これも本を買ってちらっと読んだらすごく良くてオンデマンドで番組も視聴したいのですが、なかなか余裕がありません。ちょっとずつ読んでいきたいと思います。



今まで読んだ本ですごく好きな本がいくつかあるのですが、「忘れられた日本人」はそのうちの1つです。


自己満足的な感じではありますが、またお気に入りの本も紹介できたらと思います。


2024年8月4日

【令和6年・読書記録】7月に読んだ本(3冊)

ぼちぼちペースです。




漱石は読めば読むほど好きになって、先日本屋さんで仕事用の文具を買いに行ったときに見つけたこちらの本を購入。次は「夢十夜」か「行人」を読みたいと思っています。




そのほか、最近気になっているのがこの本。


ロシア語は基本の文法書を半分くらいまでやったきりなので、それを終わらせてこれが読んでみたいです。シリーズで「カラマーゾフの兄弟」もあるようです。


今日は夕方から発表会ですが、いつもより緊張感少なめな緩い感じです(自分的に)。楽しんで演奏できたらいいなと思います。


(令和6年年始からの合計27冊)

2024年8月3日

【読了】手の倫理

7月中に読み終わった1冊です。

手の倫理

人が人にさわる/ふれるとき、そこにはどんな交流が生まれるのか。
介助、子育て、教育、性愛、看取りなど、さまざまな関わりの場面で、
コミュニケーションは単なる情報伝達の領域を超えて相互的に豊かに深まる。
ときに侵襲的、一方向的な「さわる」から、意志や衝動の確認、共鳴・信頼を生み出す沃野の通路となる「ふれる」へ。
相手を知るために伸ばされる手は、表面から内部へと浸透しつつ、相手との境界、自分の体の輪郭を曖昧にし、新たな関係を呼び覚ます。
目ではなく触覚が生み出す、人間同士の関係の創造的可能性を探る。(Amazonより) 


楽天ブックスで別の本を買おうと思ったときに「おすすめ」に上がってきたので買ってみた本です。あとで知りましたが、NHKの番組で取り上げられていたそうで、レビューも結構たくさんありました。


障害をもつ人と関わるようになって人のからだにさわる/ふれる経験が増えた著者が、その経験のなかでも特に視覚障害者向けのランニングの伴走での体験から「さわる/ふれる」という行為とは一体どういうことなのかに疑問を持ち、それについて深く掘り下げていく内容です。


視覚障害者向けのランニングの伴走では、小さなロープをわっかにしてその両端を2人が持って、腕の振りをシンクロ(同調)させながら横に並んで走るのだとか。


著者は、自分がアイマスクを付けて目の見える人に伴走してもらう「ブラインドラン」体験で感じた「ロープを通じた間接的なふれ合い」に衝撃を受けたそうです。


そこから「さわる」と「ふれる」のそもそもの違い、そしてとくに「ふれること」からどのように「信頼」「コミュニケーション」「共鳴」などが生まれてくるのかについて考察されています。


「ふれる」ことによる内面的な関わり合い、相手との一体感などが詳しく書かれていますが、最後に、さわる/ふれることの「不埒さ」についても語られています。そこで紹介された事例を読んで、「さわる/ふれる」というのはとてもプライベートでデリケートな行為でもあるということを改めて認識させられました。


第1章は「倫理」のお話で、かなり抽象的で難しくて挫折しそうになりましたが、2章からは具体的な話に進んでいき、とても興味深く読めました。


おすすめの水出しフレーバーアイスティー

ちょっと前に行った「深川江戸資料館」。


その同じ通りにお洒落な紅茶屋さんがあって寄ったら、試飲させていただいたお茶が思った以上においしかったので購入してちょこちょこ飲んでいました。


(ああ…気になる字を見つけてしまった…)


私が試飲・購入したのは「ミスティーマスカット」。全部飲み終わっても、まだ飲みたいと思ったので、ネットでほかのフレーバーと一緒に購入しました。




水出しなのでぽいっと容器にティーバッグと水を入れてしばらく待つとお茶ができてお手軽。しかも夏らしい爽やかな味です。


私は紅茶はあまり好きではなく、断然コーヒー派なのですが、このお茶を買ってからコーヒーはあまり飲まなくなっています。もともとアイスコーヒーはあまり好きではなく常にホットなので、この酷暑でホットを飲みたいと思わないという面もありますが。


いまのところ、どの味もハズレなくおいしくて、日替わりでいろいろ楽しんでいます。


ハーブティーのようにリラックス効果があるかも…という気もしています。この暑い暑い夏におすすめです!まだ試していないですが、炭酸水に入れてもよさそう!炭酸水を昨日買ったのでまた試してみます。


ネットで購入してもメール便で送料もお安いので助かります。